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建築家が考える「良い家相」

この度、建築家 天野彰 氏が最新刊を出版されました。以下、そのご紹介文です。

講談社 生活文化局第三出版部 奈良部 あゆみ

建築家として住宅にこだわり続けて40年、2000軒以上の住宅に関わった、天野彰氏が最新刊を出します。今回の本のテーマは「家相」です。
天野さんが、ときには「良い家相」にこだわって住宅を設計していることは、案外知られていません。

時代はスピリチュアル・ブームですが、西洋科学ではとらえきれない「生きる」不思議を実感している人も多いと思います。

住宅にそれは「家相」として受け継がれています。詳しくは下記に記載していますが、例えば「火と水と人の出入り口を鬼門からはずす」だけで、なぜか暮らしはおさまり、住まいは居心地のよいものとなるのです。
多くの住宅を見ていた大工さんも同様にいうのは不思議なことです。
本書はそんな住まいの不思議を、さまざまな実例とともに解き明かしました。
何卒ご高覧いただき、ご紹介の栄にあずかれれば嬉しく思います。

建築家 天野 彰
住まいにスピリチュアルな思いを・・・
 今までの住まいにあって今はないものは、住まいの”スピリチュアルな要素”、すなわち精神性ではないでしょうか。改めて「家」とは一体なんなのかを考えてみましょう。子供を育て家族と暮らすものか?あるいは1個いくらで買う”モノ”なのか?今家に、その存在価値、家を持つ意味、さらにはそこで生まれる未来の子孫と、自己を生みだした祖先を祭るなにかがあるか?家族が住むだけの、家という漢字の屋根の「ウ」かんむりがあるだけの家になり下がっているのではないか?
 ではそのウかんむりの下の「象」とは一体なんなのでしょう。そう、家に”象”徴的なものやことを祭る、すなわち過去を、祖先を祭り、今生きる自己や家族を在らしめる家の価値を改めて考えるときが来たのではないでしょうか?
 2LDKなどと呼称されるようになって以来、家から床の間が消え、いまや和室も消えつつあるわが国の住まい。しかし依然として残る裸足の住生活は世界広しといえどもわが国かお隣の韓国にしかない住まいの文化であることを改めて考えることです。
 では、なぜ裸足なのでしょう。多湿のせいではありません。外でも裸足の民族と違って、あえて履き物を脱ぎ、家の中では裸足か”上履き”に履き替える。世界を旅しかれらの家を訪れるたびにひしひしと感じることは、伽藍(がらん)でもないわが国の家そのものの崇高なる存在です。
 「土足で座敷に上がりこむ」「人の家を土足で踏み躙(にじ)る」などという表現や感覚は私の知る限り世界のどこにもありません。その裸足の家の価値こそわが国の「家」の神聖な意味です。座敷や和室の持つ意味もそこにあり、世界にない「和室」と今に残る「畳」の“床材”の存在なのです。このことが重要です。
 この和の文化はIT時代の、これほどまでに西洋化され国際化された今も、衣や食、茶や花、さらには芸や文学の世界に根強く残っています。しつけやマナーなど、人格形成に重要なものとしても評価されているのです。意外にも海外で活躍している国際的な人たちほど、このプリミティブな日本の文化を大切にしています。若い人たちほど昭和のよきころを理解し、けなげにも封建的とも言えるわが国の家督制度や“お家”のありように興味を示しています。逆にそのことに戸惑い、違和感を持っているのが、なんと戦後すぐ生まれの団塊の世代なのかもしれません。

 そんな中でもドラマチックなのは「家相」です。単に占いや易の程度かと思えば、若い人ほど本当に家相を信じているのです。その家相といえば、私ども住まいの建築家の大先輩でもある清家清氏をして「これは科学だ!」と言わしめ、「家相は長年にわたる生活体験に基づく間取りの統計的な手引書だ」と言うほどの生活科学なのです。確かに家相は古来の建築基準法のようでもあり、健康や安全の環境学とも言え、今こそ叫ばれるサステナブルな住まいの「建て方」法とも言えるのかも知れません。

 住まいは、春秋の彼岸など生活にかかわる四季折々の時にも連鎖し、桃の節句、端午の節句と子の誕生と成長を祝い、また家で挙式や法事も行ったのです。そして改めて今の住まいに大黒柱を立て、さらに洋間でもモダンな床の間や祭壇を象徴的に設(しつら)えれば、「時間、空間、人間」のスピリチュアルな家を形成するのです。まさしく住まいは子どもを育て、かつわが身をも鍛錬する「住育」の力を持っているのです。

 そこで、住まいの統計学と言われる家相の私なり解釈の集大成として、――建築家が考える「良い家相」の住まい――なる本を出版(講談社から5月に発売)することになりました。次回はそんな「良相の家」などを紹介してまいりたいと思います。

asahi.comより引用)

建築家が考える「良い家相」

「建築家が考える「良い家相」の住まい」

天野彰 (著)  出版社:講談社


−目次−
序章 寝室が鬼門になっていませんか?
・建築家の息子の前に家相図を広げた父
・寝室が鬼門になっている
・家相はある!

第1章 じつはあなたも家相が気になっている
・家相を口にしたら笑われた
・施工直前になって「じつは家相が・・・・・・」
・凶相の設計を裏返してみたら
・地震と同じくらい関心がある
・夢のマイホームを建てた後に心配すること
・増築で家相が悪化する
・あの部屋は何ですか?
・「減築」で光と風を通す
・背筋も凍る、天野家「鬼門の古井戸」事件
・巷にあふれる、隠れ家相家たち
・家相家10人に聞きました
・天野式家相盤の誕生

第2章
・夫婦二人の良相の家
・良相の浴室で怪我をする
・良相の台所の使い勝手は?
・家相はこうして始まった
・俗信だけで家屋敷は守れない
・「家相は科学だな」
・俗信や言い伝えに秘められた生活の知恵
・家相は昔のリスクマネジメント
・二階に家相はない!?
・駐車場は出入り口か、あるいは自動車置き場か
・勝手口や中庭をどう考えるか
・どこまでが「張り」で、どこからが「欠け」なのか
・家の中心はどこにある?
・天野式中心の見つけ方
・何をおいても「鬼門の風」に要注意
・火と水と人の出入り口は家相に従いたい

第3章 まずは鬼門を避ける
・鬼門とはなにか
・鬼門の正体は風と日射
・北側に集中しがちな水回りをどうするか
・鬼門を逃げて対面式キッチンを発見!
・鬼門が誕生したパソコン・コーナー
・道路側が全面鬼門!絶望的な敷地の場合
・生活機能向上プラス良相のリフォーム
・古い間取りをリフォームして良相に
・一挙三得のリフォーム術

第4章 東南に何をおくかで家族がきまる
・東南の辰巳で子宝に恵まれる
・父親の存在感にこだわった家
・家相が指摘した、二世帯住宅のルール
・玄関をめぐる父子の攻防
・マジックドアで鬼門を避ける
・二つの家相がある家
・「居ながらリフォーム」はお金がかかる
・明るい未来を生きるために建て替え
・「人を招き入れる家」で思わず再婚!
・家相を考えて息子に土地を贈与
・あえて平屋にしたほんとうの理由

第5章 マンションの家相、21世紀の家相
・マンションに家相はあるか
・マンションには背中合わせの家相がある
・リフォームで家相を良くする
・21世紀の家相と新たなチェック・ポイント
・ご近所とのトラブルこそ現代の「匈奴」
・「工事中の家相」
・向こう三軒良隣プラス裏隣
・建設予定地に立って周囲360度を撮影する
・エアコンの室外機もクルマの排気ガスも「現代の凶相」
・プラス10万円で「安全」を手に入れる
・ツーバイフォーは家相に向かない
・家相にこだわれば腹が据わる

終章 家相を取り入れることで家族を知る
・「家長がすべて」ではなく「家族のために」
・東向きの玄関に込められた夫婦の情愛
・一に風、二に風、三に風

あとがき
・天野式家相は明るく暮らすための仕掛け